外国人は軽便で持てる
前述は支那人を主として書いたが、茲に若し我々外国人が遊ぶと仮定すると、何事も支那人よりも簡単に行くのである、外国人といふので、総ての点に稍多額の支払をせねばならぬことは免かれぬが、住局するには至つて軽便である。花酒などは殆んど要求せずして、平易組は普通の玉代、花酒組でも二十弗も提供すればそれで足りるのである。そうして生客印ち初会の打茶囲を以て、吐ちに交渉し得るとの事である。彼等は外国人を客にするのを内職にして居る。それは面倒なことが伴はぬのと、金放れが比較的綺麗なのと、旅行者が族情の徒然に謀判心を起して、一夜の快を遣るので、一回限りが多いからである。
支那の各地に在る日本の旗亭に於てもこれと類似したことがある。例へば北京に於ける芸妓仲居は、大概一人の馴染客を有しこれを弗箱として居る、そうして彼等は、其客以外には土地に居住する者を客としないと称して居る、(其実は数人を巧みに操つて知らぬ顔をなし、之等の手玉に奔弄されて、色男を気取つて居る鼻下長が、所謂紳士と称する中間に沢山ある)処が、日本からの族客又は天津から遊びに来た者の交渉には、直ちに応ずる。それは一面には短時日のことであるから、弗箱との鞘当が無いからである。彼等は之を内職にして盛んに発展するので、日本の有力者間には飛んだ兄弟が出来上つて居るといふ話がある。それとこれとは同一の理に外ならぬ。北京では、邦人芸妓に虐待さるる一部人士は、八大胡同に於て埋合せが出来得るといふので盛んに繰込み独身者の調節が執れて居る。
△花柳竹技詞 静亭山人
□北地胭脂
彩燭光遙嘴臉紅、胭脂北地古遺風、南朝金粉惟清談、雅◯由来迥不同。
□細局
明窰禁閉玉生塵、細局開来様又新、誰譏盧山真面目、容顔依旧亮攤人。
□転条子
一到先呼姑奶奶 本家妓換来妓、本家姉妓各装烟 本家妓敬来妓水烟三袋、猜拳代酒無他分
事妓並無酬応弾唱等事片刻即去也、片刻花銭十二干。