支那の売笑
九、私娼(密淫売)

おめかけの密淫売団

女学生が密かに淫を鬻ぐのも、東京あたりの状態と同様であるから別に述べぬ。支那人の「姨太太」即ち第二夫人以下のおめかけさんが、主人の愛に満足せずして密かに男に接し、淫を売るよりも反って買うものがあるが、これは「姨太太団」と称し、面白い団体が諸方に出来て居る。清明時代に「黒車」と称し、一定の場所より黒布にて覆ひたる車に乗り、或場所に至り、同じ黒車にて出発の場所に帰着し、女に遇ふた場所も、女の名も解らなかったといふことと似て居る。

それから第三流になると露骨になって来る、待合のやうな密売機関が有って、そこに出張して麻雀などやって遊んで客の来るを待ち搆えて居る、待合に泊り込みと外から通って来る者とがある、之等は殆んど妓館と異ならぬ、一軒に五六人から多きは十四五人も居る処がある、東京の恰度浅草公園辺りの白首格である。此種の暗娼は内外城何処にも散在して居るが、内城では本願寺の附近が其巣窟である、此処に遊ぶには無論紹介者を要するのであるが、外からの銜へ込みもある、相場は二弗位であるから押して知るべしである、日本人の中で此種暗娼と関係して、非常に迷惑したものもある。

九、私娼(密淫売)

  1. 私娼に接近する方法
  2. 北京の代表的暗娼
    1. 白昼堂々と横行
    2. 素人に見分のつかぬ密淫売
  3. 巧妙なる彼等の出没
    1. 親分子分の関係
    2. 嫖客の選取勝手次弟
    3. 未亡人や旗人の娘
  4. 外人専門の密淫売
  5. 妾の密淫売団
    1. 外人使用のボーイが手引
    2. 清朝時代の黒車
    3. 第三流の密会機関
  6. 暗門子の客筋
  7. 居酒家の客引
  8. 取引前の見合
    1. 厳重なる警察の取締
    2. 男女の合座を禁止
    3. 新聞の慣慨
  9. 吊蚪子の方法
    1. 自身で喰へ込むもの
    2. 客引の勧誘にかかるもの
    3. 浅草公園の出現
    4. 闇に匂ふ白粉の花
  10. 茶館で引張る要領
  11. 公園で引張る要領
    1. 意味深長なる対話
  12. 懸引の苦心
    1. 並和台に櫓轎子
    2. 老婦代少女の奇聞
    3. 淫売の媒介婆
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