おめかけの密淫売団
女学生が密かに淫を鬻ぐのも、東京あたりの状態と同様であるから別に述べぬ。支那人の「姨太太」即ち第二夫人以下のおめかけさんが、主人の愛に満足せずして密かに男に接し、淫を売るよりも反って買うものがあるが、これは「姨太太団」と称し、面白い団体が諸方に出来て居る。清明時代に「黒車」と称し、一定の場所より黒布にて覆ひたる車に乗り、或場所に至り、同じ黒車にて出発の場所に帰着し、女に遇ふた場所も、女の名も解らなかったといふことと似て居る。
それから第三流になると露骨になって来る、待合のやうな密売機関が有って、そこに出張して麻雀などやって遊んで客の来るを待ち搆えて居る、待合に泊り込みと外から通って来る者とがある、之等は殆んど妓館と異ならぬ、一軒に五六人から多きは十四五人も居る処がある、東京の恰度浅草公園辺りの白首格である。此種の暗娼は内外城何処にも散在して居るが、内城では本願寺の附近が其巣窟である、此処に遊ぶには無論紹介者を要するのであるが、外からの銜へ込みもある、相場は二弗位であるから押して知るべしである、日本人の中で此種暗娼と関係して、非常に迷惑したものもある。