私娼に接近する方法
私娼(密淫売)に就ては「私娼の種類」に於て述べた如くである、北京の私娼は、内外城は勿論、城外到る処に巣を搆えて居る。しかし東京の浅草公園や、芝の神明、亀戸や、向島のやうに殆んど遊廊の如く一定の場所に集合して、公然の秘密に娼業を営むが如き露骨な箇処はないのである。而も是等に接近するには、野鷄の一派を除く以外は、単独では不可能である。警察の取締が厳重であるから、面識なきものが其巣窟を発見することは頗る困難である「私娼の種類」の部で述べた第一種は厳重なる警察の取締を潜って行ふのであるから、これに接近することは容易のことでない、第二種は紹介者を要することは勿論であるが、旅館其他これが仲介者の手を経れば頗る軽便 である。第三種は即ち「野鶏」の類であるから、彼等の餌たることを表示すれば、随処に其目的を達することが出来得るのである。第一種の屋内に於て密淫売をなす者に高下二種がある、高等に属するものは飛放れた高等内侍で、下等に属したものは公娼の二三等格或はそれ以下の者もあるのである、而して是を更に(一)親方を有する者、(二)単独に行動する者の二種に区別しなければならぬ。