支那の売笑
六、茶室と下処

「下処」の所在地と其構造

下処には二種ある、即ち三等を普通に「下処」といひ、四等を「小下処」と呼ぶ。北京に於ける下処は現在百六十戸で娼妓数は一千七百四人、小下処は三十戸、妓数三百八十人である、三四等は殆んど同様であるから区別せずして述ぶる。「下処」は茶室より一等格が下る、最下等の妓館である北京では、前門外の茶室と交り同じ花街に散在するものと、外城の各処及び城外にあるものとの二種がある。

△前門外の花街に在るもの……陜西巷、石頭胡同、王広福斜街、燕家胡同、朱茅胡同、青風巷、火神廟夾道、小李紗帽胡同、博興胡同、王皮胡同、蔡家胡同、朱家胡同、小罐胡同、双五道廟、王家大院(俗称王八大院)

△前記以外城内に在るもの……天橋附近(花枝営、蓮花河、四聖廟、)打磨廠の南方(前営、後営)崇文門外(黄花苑)広安門内(樂培園、四舗坑)

△城外に在るもの……朝陽門外(壇夾道)西直門外(黄土坑)徳勝門外(校場辺)等

城内に在るものは京師警察庁、城外に在るものは歩軍統領衙門の管轄に属して居る。

妓館の構造は二等と大差は無いが、室内衣服等は二等に比して不潔である。馴れない者が内庭に入ると、臭気鼻を衝いて来るを覚ゆる、打茶囲の方法も二等と大差は無いが、ただ変つて居るのは下処の妓女は一々見客をする面倒を省きて、硝子を張つた部屋に列んで居る、恰度日本の遊廓で張店をして居ると同様である、希望に拠れば見客をして排幾をやるが、大慨は硝子越しに素見して歩くのである。妓女は二等のお下り者か、生計難のために苦海に身を沈めた後家さん等で一般に年増が多い、中に姑娘も居るが、多く二等の妓女たる資格を欠いた女であるから、種が非常に落ち、中には見るに堪えざるものがある。東京でいへば品川の橋向ふか、千住の場末か、府中五宿の格である。

六、茶室と下処

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