支那の売笑
八、忌諱と迷信

花街の神様「白毛神」

迷信に至つては正月五日の早天に室外に出て神に会ふ「接路頭」を初め様々のことがあるが、その内で一番奇抜なのは、花柳界の神様「白毛神」を虚待することである。「白毛神」の本体は管仲である、支那に於いて妓女を設けた元祖として之を花街の神と奉つて居る、どうして「白毛神」といふかといふに、管仲は生れながらにして「陰毛が白かつた」と称されて居るからである。此神様は木製又は陶器にて作り、室中の便器の傍に置いある、妓女は朝起きると

我不給招財神爺、我打你嘴肥(わたしに宝の神様をくれねばお前さんを打ちますよ)

とやる、若し客が来なかつた場合は、神像を擲打し、又は大小便をかける、又は

我給你活魚吃、你総要対得起我、待両天辺給你魚、你記明白了別忘我的事、謝々你

といふ、この大意は「貴神に活きた魚を食はせる、好いお客様の来るやうにしてくだ さいそうすると又魚をあげますよ、忘れてはいけません」といふ意になる。斯うして先づ魚を口の辺に塗るが、若し客の無い場合は、前記と同様に虚待する。

八、忌諱と迷信

  1. 妓館で忌諱する例
    1. 抱波羅蓋児
    2. 給恁榧子
    3. 花街の神様
  2. 白毛神は管仲が本体
    1. 神様を便器の側に祀る
  3. 花柳界で持てる客
    1. 五字嫖経
    2. 水滸伝が本元
    3. 淫楽と仙人の境遇
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